岡田斗司夫がおすすめの本 20冊 | 有名人のおすすめ本

岡田 斗司夫

Toshio Okada
評論家 著述家 元GAINAX社長 YouTuber

元GAINAX創業メンバー・社長。自称「オタキング」。アニメ・映画・小説・社会現象をサブカル視点で解説する評論家。YouTubeチャンネル「岡田斗司夫ゼミ」で読書・映画・時事を独自視点で語り続けるロングセラー配信者。著書に『遺言』『評価経済社会』『いつまでもデブと思うなよ』など多数。

51 books おすすめされた書籍の総数 · 出典: 岡田斗司夫ゼミ YouTube

おすすめされた本

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逆説の日本史 7 中世王権編

おすすめ本ランキング③ おすすめ図書5選

井沢元彦による「日本史の謎」を独自解釈で読み直すシリーズ第7巻。室町期、足利義満が天皇位を簒奪しようとした説など、教科書では語られない解釈を提示する。

岡田 斗司夫 1996年

「井沢元彦さんの逆説の日本史7巻中世王権編。僕、こんな逆説の日本史とかそんな大業なタイトル書いてる本はちょっとあまり好きじゃなかったんですけど、今日プレゼンするのがうまくてついつい読んでしまいまして。塾の先生やってる人なんで話し方が先生で『室町時代の将軍といえば誰もが知っている足利義満』っていうところから入られて、全員ちょっと下を向いてしまって——『そんなやつもいたよな』って俺もなんか『足利義満って誰だっけ』、金閣寺を立てたおっさんですね。この足利義満、肖像画が残ってるんですけど坊主なんですよ。歴代将軍で坊主の人っていない。なんで坊主かっていうと、実は足利義満っていうのは天皇の位を簒奪する、つまり奪い取ることを考えていた。日本人は頭がいいから天皇という権威をそのままにして実権を握るために将軍職っていうのができた。3代目の足利義満の時代に、彼は将軍になろうとしてでもこのまま将軍のまま一気に天皇を乗っ取っては周りであれこれ言われるから、1回坊主になることによって自分をデオドラント化(消毒)してなろうとしたという話。」

– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』日本史を暴く+逆説の日本史7解説(07:09〜)

巨神計画

おすすめ本ランキング③ おすすめ図書5選
小説 SF 海外

ニューヨーク発の話題作。世界各地で発掘される巨大ロボットの手・脚を集める極秘プロジェクトを、調査記録とインタビュー形式で描くSFスリラー。

岡田 斗司夫 2017年

「女の子が13歳の誕生日に自転車をもらって、新品の自転車に乗りたくて仕方がない。誕生日パーティーが終わって急いで外に出て、すごい速いと思ってたら森の中に何か緑色の光が見えた。光が見えてお守りの中に転生痛いって、足元から崩れてドーンと落ちる。気がつくと穴の底にいて、地面が真四角に切られてて空が見えて、お父さんと消防隊員がいてグループが降りてきて自分を助ける——タンカに乗せられてくる。それから3日くらいして消防団員の人が初めて写真を持ってきてくれて、『君みたいんじゃないかなと思って、これ君を助ける時の写真』と見せてくれたら、すごい巨大な穴の中に金属でできた手のひらがドーンとあって、そこの真ん中に女の子が倒れてる。実は巨大なロボットの手だけが見つかった。この女の子はそれから成長して大学に入って、偶然その発掘計画を担当することに。実は20年間の間にその手が何のことかまったくわからない、放射性同位体でやってみたら3000年前のものだということしか分からない。3000年前にそんなものがあるはずがない。ここまでが最高に面白くて。ただ4本だけど、つまんないのは、結局アートが、そのロボットがだんだん全身が見えてきて、動かし方がどうなっているのか、武器持ってるのか、何のために置いてかれたのかっていう謎の部分がすごい面白いんだけど、サンライズが80年代に作ったアニメみたいなありがちな曲って、ちょっと苦しかった。」

– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』巨神計画 解説(04:23〜)

肩をすくめるアトラス

おすすめ本ランキング③ おすすめ図書5選
小説 哲学 古典

アメリカで聖書に次いで人生に影響を与えたとされる思想書。社会主義に侵食される近未来アメリカで、富を生む資本家(アトラス)が肩をすくめ離脱する姿を描く長編小説。

岡田 斗司夫 2004年

「聖書に次いでアメリカ人が人生で最も影響を受けた本というふうに言われている。アメリカで超ベストセラーで、本を読める人つまりアメリカの知識人のバイブルとも言われているSF小説。近未来のアメリカは半分社会主義みたいなものの流れを受けていて、おかげでアメリカの金持ちたちがどんどん共産主義・社会主義の波を受けて仕事がやりにくくなってくる。結果的にアメリカの富豪資本家たち、誇りを持って点を支えていたアトラスたちが『もういいや』と言って肩をすくめだした。そうすると世界がゆっくりと滅亡に向かっていくっていうディストピア小説。日本人はこの本の存在を聞いたこともないんですけどほとんど。だけどアメリカの知識人はほぼ全員この本を読んでて、かなりこれの思想的な影響を受けてる。資本家というのは偉い、なんでかというと、ちゃんと成功したから。同時に労働者たちはそのアトラスを助けるという、そういう道徳的なフィードバックが働いている。これがあるのでアメリカ人は社会的な成功者に対して基本的に尊敬する。アメリカの良い意味での資本主義というのはいいもんだ、資本主義というのは善であるという考え方。」

– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』アイン・ランド『肩をすくめるアトラス』解説(08:21〜)

この世界が消えたあとの 科学文明のつくりかた

おすすめ本ランキング③ おすすめ図書5選
📚 他にもおすすめ: 前田 裕太

もし文明が崩壊したら、生存者は何を覚えていればゼロから再建できるか。物理・化学・農業・医療を「文明の再起動マニュアル」として解説した話題のサイエンス書。

岡田 斗司夫 2015年

「誰もいなくなった世界で文明の残りを集めるだけで十分エデンの園で生きていける。大きめのスーパーマーケットがあれば、たった1人で占領すると人間1人は55年間くらい生きていける。ペットフードまで含めれば63年ぐらい大丈夫。 しかしその祖父楽園は腐りかけている、食料・衣服・医薬品・機械など技術から生まれた産物は時と共に腐食し分解し劣化する。文明は自らに今までの勢いに乗って惰性で進める。生存者は自由に手に入る支援の山に囲まれていることに気が付く——豊かなエデンの村が。しかし砂時計はひっくり返されたのであり、砂は着実に落ちていく。 本棚から医学の専門書を引っ張り出して専門用語や薬品だらけのページをめくったとしたら何が理解できるだろうか。大学の医学の教科書はすでに莫大な予備知識を前提として書かれている。一般の読者向けの本など実はほとんど役に立たない。経営の成功術とか痩せたジムを自分のイメージするとか、異性のボディーランゲージを読み取るためのハウツー本などの『知恵』から文明の再現を試みたところで——文明はどこへ行く、それを実現できるのか。 生き残った者たちが集まって、お互いに知っていることを組み合わせて文明を守るしかない。一人で生きるは生きていけない。100年後には生き残り世代は全部死んでしまって、おそらく文字を読める人もほとんどいなくなる。文明は完全に失われていく。だから科学文明の第2シーズンを作るしかない。」

– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた解説(10:48〜)

海賊の経済学 見えざるフックの秘密

おもしろい本5選②

「海賊」を経済学的に分析した異色のノンフィクション。アダム・スミスの「見えざる手」をもじり、海賊社会も合理的経済主体だったという論を実証データで展開。

岡田 斗司夫 2011年

「今日はめちゃくちゃ面白い本5選②をプレゼンします。」

– 出典: 岡田斗司夫ゼミ「おもしろい本5選②」(YouTube)

江戸を建てる

おもしろい本5選②
小説 歴史 日本

湿地帯にすぎなかった江戸を、徳川家臣団がいかにして大都市に造り変えたか——上水道・治水・町割りを担った無名の職人たちのプロジェクトX的群像小説。

岡田 斗司夫 2013年

「なるほどっていうシンガーだけどさ、面白い、絶賛の嵐——めちゃくちゃ面白い。ただ小説家と言われたら文章下手だよこれ。あらゆる小説書きたい人が絶対読むべきっていう、ここまで文章が下手で面白いものを書くのってなかなか見たことがない。 何もない江戸という湿地帯——もともとは秀吉と家康が小田原攻めしてる時、秀吉が『悪いけど住み慣れた愛知抜けて、東京に来てくれ』と。江戸は本当にしゃれにならんくらいの湿地帯。家康は転勤させられた瞬間に『これは……』と落ち込むくらい。そこにどうやって江戸を作ったのか——燃える家康部下たちの物語。家康はほとんど出てこなくて、家康の部下たちがどうやって土を作ったかというプロジェクトもの。 第一部『流れを変える』:江戸が水浸しなのは利根川が流れ込んでるから。利根川を90度がくっと曲げて東京湾の方へ流させる大プロジェクト。家康が決定してから完成するまで50年以上、孫の代まで。命じられたのは臆病者の伊奈忠次。彼が臆病だったがゆえに、反乱を防げる丁寧な水路を作れた。 第二部『金貨を述べる』:秀吉から後藤庄三郎が来て金貨鋳造を申し出るが、家康は別の家来・橋本庄三郎に金貨を作らせる——重量の大判ではなく1両の小判。これは『貨幣戦争』。秀吉の重量大判は10万円札みたいで使えない、家康の小判は使い勝手が良い『一両通貨』。これで日本を貨幣で征服する。 第三部『飲み水を引く』:井の頭の湧き水を江戸まで山あり谷ありの土地に引く——『マス』というシステム、地下水路に途中で池みたいなマス(升)を作って、水が満杯になったら次に流す仕組み。 第四部『石垣を積む』:和歌山で見つけた山肌一面が一枚岩の岩。これを切り出して石垣に使う。 第五部『天守を起こす』:秀忠が出て『天守閣なんかいりません、信長以外に天守閣を使った武将はいない、二条城も伏見城も天守閣使ってない、白い天守閣を立てるのは時代遅れだ』と言う——なぜ家康が白の天守閣を作らせたのか、その心が下手で家光になってようやく分かるという第五章。」

– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』江戸を建てる 解説(00:00〜)

コンテナ物語

おもしろい本5選②

「規格コンテナ」が世界貿易を革命的に変えた歴史をドラマチックに描くビジネス・ノンフィクション。ビル・ゲイツもおすすめする物流革命の決定版。

📚 他におすすめ:
岡田 斗司夫 2019年

「ひゆきが紹介してた本。広雪幸の薦める本の5条件——(1)10年以上役に立つ、(2)結論までの流れと理由に筋が通っている、(3)エビデンスがある、(4)意外な結論がある、(5)読んでて面白い——を全て満たしてる。読んだら2020年に読んだ本の中で明らかに1番面白い本だった。 ひゆきが紹介で書いていたのが——『上海から東京まで30tの荷物を運ぶとコンテナで30万円ぐらい、群馬の工場から東京まで同じ30tの荷物を運んだら30万円で絶対に遅れない。海上輸送が異常に安くなったので、人件費の安い国で生産して製品を輸入することが当たり前に。それが低コストにつながった』。今聞くと当たり前なんだけど、その当たり前がどう実現したかという本。 世界中の工場から物を詰めて閉めてから1回も開けられずに、トラック→列車→船→港→トラック→列車→Amazonの倉庫まで——コンテナは輸送モードの変更でも開けない。乗せ替えのコストや時間が0。 1958年の日本の門司港の物流——『沖仲仕』と呼ばれる体格のいいおじさんたちが両手に荷物を持って『ギャング』と呼ばれる渡し板の上を運ぶ。20cmぐらいの細い板を渡って、すべての荷物を担いで運ぶ肉体労働の塊。気が荒い人で、船長や輸送主の言うことも聞かないし、現場の泥棒行為も当たり前——だから時計会社の社長一族の番頭ぐらいの人が日本酒を持って挨拶に行くしかない。沖仲仕の専門家チーム『ギャング』は15-25人で、生涯同じチーム。これと交渉するために生まれたのが『近代ヤクザ』『近代マフィア』——山口組も神戸の沖仲仕をコントロールするために誕生したという説、ニューヨーク・シカゴのマフィアもシカゴ五大湖港の沖仲仕に対する交渉団体として発生。『ギャング』という言葉自体が船の渡し板=そこに所属する沖仲仕チームから来てる。 革命の主役はマルコム・マクリーン——田舎で世界恐慌の中ガソリンスタンドを始め、安いガソリンを求めて中古ダンプカーを毎月3ドルのローン(親戚から金を集めて)で買って、第二次対戦の輸送ブームで2台→30台に。1945年に戦争が終わるとアメリカ軍が大量の輸送船を激安で民間に払い下げ、マクリーンは『トラックも船も同じでしょ』と船を激安で買って船団のオーナーに。 第一段階はパレット革命(1958年)——あらゆる荷物を木のパレットに乗せて、フォークリフトで運び、クレーンでパレットごと船に積む。これで沖仲仕の仕事が劇的に減った。彼らは『1ギャングあたり25人の人数を減らすな』と組合運動で抵抗、実際は5人で済むのに25人分のギャラをもらって5人が他の20人に分配する事態がニューヨーク・シカゴで長期間続き、これがマフィアの肥大と都市犯罪・ドラッグ取引につながった。」

– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』コンテナ物語 解説(04:10〜)

ずっとやりたかったことを、やりなさい。

ずっとやりたかったことを、やりなさい (ジュリア・キャメロン解説)
自己啓発 エッセイ

全米で30年以上愛される自己啓発の古典。「モーニング・ページ」など創造性を取り戻す具体的ワークを12週間で実践するプログラム形式の本。

岡田 斗司夫 1992年

「ジュリア・キャメロンさんの本。元のタイトルがアーティスト・ウェイ、つまりアーティストのやり方とかアーティストになる方法みたいなタイトル。著者が30年以上続けていたアーティストになる12週間ワークショップの単行本化。パトリシア・コーンウェル、ザ・フーのギタリストのピート・タウンゼントもこの本の影響を認めている。 アーティストになるためのツール1つ目はモーニングページ。A4のノートを用意する、毎朝起きてすぐ3ページ書く、内容は何でも構わない、絶対に誰にも見せない。スマホじゃダメで紙に鉛筆で書く——頭の回転を適当なスピードに落とすため。各内容ではなくて『排水』が目的。頭の中に溜まっているお水みたいなものを排水する。理性脳が疲れ果てて、その日1日面白いことにあまり働かなくなる。 ツール2つ目はアーティストデート。週に1回、探検とか遠足に行く、必ず1人で。10週間分予定を立てて動かさない。子供の頃にしたかったこと、絶対に自分とは縁のないはずの場所、興味のないジャンルの店に行く。これは自分の中の恥ずかしがり屋で引っ込み事案のアーティスト脳を引っ張り出して楽しませることが目的。離婚したお父さんと会いたい子供と同じで、必ず1人で行くこと。」

– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』『ずっとやりたかったことをやりなさい』解説(00:31〜)

アルジャーノンに花束を

SF不朽の名作 アルジャーノンに花束を 解説
小説 SF 古典

知能の低い青年チャーリィが、脳手術で天才になり、そして…。SFの不朽の名作にして、知能・愛・人間の尊厳を問う一級の文学作品。

岡田 斗司夫 2015年

「ダニエル・キイスは1927年生まれ、ニューヨークのブルックリンで生まれた——その頃のブルックリンはマフィアの巣窟みたいな所。23歳でマーベルコミックの前身であるアトラスコミックに就職、上司はあのスタン・リー。1958年、31歳の時に中編『アルジャーノンに花束を』を発表してSF雑誌『ギャラクシー』に売り込んだんですけども、『これ暗いよ、ハッピーエンドに変えて』と言われて、自信作だったので掲載してほしさにラストを変えようかと思ったけど、友達のマジのSF作家に『絶対これ変えちゃだめだ』と言われて他のSF雑誌に送ったらヒューゴー賞をとった。 僕がガイナックスの社長だった時、80年代の半ばだと思いますけれども、山賀博之が『アルジャーノンに花束をアニメ化したい』と言って、僕クリフ・ロバートソンにアメリカまで会いに行ったことがあるんですね。ところがクリフは日本でアニメ化することに関しては何も興味がない。『俺はアカデミー賞の男優賞をとったんだから、俺を主役にして続編を作りたいんだ、日本人は金持ってるだろう、アニメみたいなことじゃなくて俺に出資してアルジャーノンに花束をの続編やらないか』と。 これね、気がついてないんですけどブレードランナーの元ネタなんですね。チャーリーは抵抗せずに自分の運命を受け入れる、でも知能を保とうとなんとかするんだけど抵抗できない。ブレードランナーは残り時間、人生の残り時間を伸ばそうとあがく話。チャーリーは受け入れたんだけど、レプリカントは最後にデッカードと戦いを挑むことで人間と同じになろうとする。アルジャーノンに花束をっていうのが花束を添えるのに対して、ブレードランナーっていうのは戦う、命をかけて戦う。実は同じテーマを扱っているお話。」

– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』アルジャーノンに花束を解説(00:00〜)

NEXUS 情報の人類史

NEXUS 情報の人類史 (ハラリ新刊) 解説

『サピエンス全史』のハラリ最新作。情報ネットワークが人類史をどう形作ってきたか、そしてAI時代の未来を「情報の人類史」として論じる話題作。

岡田 斗司夫 2024年

「ハラリのネクサス情報の人類史。なかなか分厚い本で、読もうと思ってもなかなか手強い。表現が割と平易なんですけどくどい。ホモサピエンスっていうのは賢い猿のはずなのに賢くないじゃないのかと——人類や自らを『賢い人』と名付けたけど、その行動はむしろ自滅的である。事実や力は進歩したのに知恵(ウィズダム)にはつながっていない。気候危機・戦争・AIなどで自分たちを危機に追い込んでる。 人類は大規模な協力のネットワークを構築することで途方もない力を獲得するものの、そのネットワークはその構築の仕方のせいで力を無分別に使いやすくなってしまっている。これが本書の核心をなす主張。私たちの問題はネットワークの問題なのだ。 ポピュリズムは社会を純粋で高潔な人民と腐敗したエリートという2項対立で捉える思想。情報を真理を見つける手段ではなく、権力闘争の武器と見なす立場。何かに関して『けしからん』『許せない』って言ってる人は大体この思想なんですね。 サム・アルトマンやイーロン・マスクら多くの一流のAI専門家や企業家がAIが私たちの文明を破滅しうることを世間一般に警告してきた。AI研究者2778名を対象とした2023年の調査では、回答者の1/3を超える人数が『最悪の場合、高度なAIが人類の絶滅という悲惨な結果につながる可能性を最低でも10%』と見積もった。」

– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』ハラリ『NEXUS 情報の人類史』解説(00:00〜)

世界金玉考

西川清史による世界各地の「金玉」をめぐる文化史。中国の宦官制度、イタリアのカストラート歌手などを横断する稀有なノンフィクション。

岡田 斗司夫 2024年

「三浦純の推薦文が『人生の3/4は金玉のことを考えてきた』って書いてるんですけども、もう本当にこの通りの内容で、面白さと知性と下品さと残酷さがうまく調和してる。こんな本なかなか見たことない。1番ショックだったのが中国の宦官制度。中国の王朝制度時代、中国って4000年以上続いてるんですけど、そこには宦官と呼ばれる人たちがいた。おちんちんと金玉と両方切り取られた男性で、王様の直接の使用人として使われていた。1924年ぐらいまでずっといた、4000年間いた。手術風景もこの世界金玉考の中ではたっぷり書いてある。あとイタリアでも400年にわたって7歳から11歳ぐらいまでの男の子のあそこを切り取って、ボーイソプラノの歌手『カストラート』を作ろうとしてた。バチカンがこれを禁止したのは19世紀の末、20世紀前半までカストラートの切り取られた人たちは生き残ってて、レコードまで存在するぐらい。」

– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』世界金玉考 解説(00:00〜)

日本史を暴く 戦国の怪物から幕末の闇まで

『武士の家計簿』磯田道史による日本史の隠れたエピソード集。当時の文献を付き合わせると見えてくる新しい日本史像。

岡田 斗司夫 2022年

「武士の家計簿を書いた磯田先生の新刊。日本史を暴くって言ってもそんな怖い話とか陰謀論ではなくて、みんなが知ってるようなことをさらに細かく調べて、当時の文献とかを付き合わせるといろんなことがわかるっていう本。例えば信長の話。信長が地球儀を持ってたって話、当時の宣教師から手に入れて、地球が球体であることも知ってた。あまり知られてないのは、信長はこの地球球体説がすごい面白いとフロイスを呼びつけて公開講義までさせてる、通訳まで付けて。『その講義は面白いからみんな聞きに来い』と、武将クラスではなくてそこら辺の小物クラスとか、近所に住んでいる子供まで呼んで、それでも足りないのか襖を開けてとにかくでかい声で話させた。信長はあまりに面白かったから——これがきっかけで戦国時代から江戸時代にかけて日本では宇宙論が大ブームになった。江戸の後期になると、太陽の周りを回っていることを信じるのが知識人の間では当たり前。大阪の番頭の日記が『他の星に空気があるならそこには虫や魚や獣がいるはず、人間がいても当たり前だろ』って書いてる。とんでもなく面白い時代だったっていうのが分かる。」

– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』日本史を暴く 戦国の怪物から幕末の闇まで 解説(02:42〜)

日本史の謎は「地形」で解ける【文明・文化篇】

元・国土交通省官僚の竹村公太郎が地形・治水の視点から日本史の謎を読み解くシリーズ。巻末「ピラミッドは何でできたのか」が必読。

岡田 斗司夫 2014年

「この本で巻末におまけでついてる『ピラミッドは何でできたのか』っていうやつがめちゃくちゃ面白い。ピラミッドはどうやって作ったのかはほぼ分かってるんですよ、ところがなんで作ったのかっていうのが実は全く分かってない。それに対してこの人が気象学と土木工学の知識から、河川の知識からナイル川の氾濫っていうのが基本的な理由でピラミッドができたのかっていうのをほぼ謎を解明してしまってる。エジプトで講演したら『あ、それだ』っていう風にいろんな人に言ってもらえる。古代の研究で『宗教』っていうのが出てきたら大体ちょっと怪しんだ方がいい——『宗教的』っていうのは原因不明の死を全部『心不全』って言ってるのと同じで、わかんなかったら宗教的って言ってるだけ。」

– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』日本史の謎は「地形」で解ける【文明・文化 解説(10:09〜)

読者ハ読ムナ(笑) いかにして藤田和日郎の新人アシスタントが漫画家になったか

『うしおととら』『からくりサーカス』藤田和日郎が新人アシスタントを漫画家にした実体験を綴った仕事論・人生論。

岡田 斗司夫 2017年

「『読者は読むな』というのは藤田和日郎が文字で書いた『アオイホノオ』『バクマン』への挑戦状というのが僕の考え。バクマンが生んでしまったのは作り手側の本音っぽいものを全部出したような気がしてるんですね。少年ジャンプはアンケート至上主義だ、まず3週間はネームこういうふうに出して、ページ目こういう注意点だ、こういう風に直して、と『バクマン』が物凄くマニュアル的に紹介している。それがストーリーと相まってめちゃくちゃ面白いんですけど、おかげで現場の先輩に何も聞かなくてもいい『俺はそういうことは分かって漫画業界に入ってきてるんだ』っていう小賢しい漫画家志望を山のように産んでしまった。 この本の中で僕がすごく面白かったのが、藤田さんのスタジオには『無言禁止』という張り紙があるぞ。アシスタントとして入ってきた人間は絶対に会話しろと言われる。聞かれたことに最低限しか答えないような奴はその場でクビにする、絵は上手くなくてもいい漫画下手でもいい、でも会話のキャッチボールできない奴はいらない。そういう奴は最終的にクリエイターにはなれない。 第2章が『一緒に映画を見ろ』。お前がバック・トゥ・ザ・フューチャーが好きだったら『なんで好きなんだよ』『これはこういう理由で』と返せ。好きも嫌いも必ず理由を付けて返すこと。最初は自分でネーム書いて『ここがダメだ』と言われたら人格を全否定されている気がする、自分とその作品とを引っ剥がさなきゃいけない。一流の漫画家が文字として書いてたら本当に脱帽、すっごい面白い、読んでも読んでも止まらない。」

– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』読者ハ読ムナ(笑) いかにして藤田和日郎 解説(00:00〜)

ひとの気持ちが聴こえたら 私のアスペルガー治療記

ジョン・エルダー・ロビソンの自伝的ノンフィクション。アスペルガー症候群の男性が脳への電磁刺激の実験治療を受けて他者の感情が読めるようになった驚くべき記録。

岡田 斗司夫 2019年

「人の気持ちというのが全く理解できず、人間の顔色や表情も読めないアスペルガー症候群の男性が、脳への電磁放射という実験治療を受けて一気に理解できるようになるという話。しかもそれは普通の人々が分かるというレベルを突き抜けて、まるで超能力者に見えてしまう、顔とか目を見ただけで相手の人の気持ちや考えがほとんど全部わかってしまう、そこまで読めるようになってしまう。しかしこの治療法の欠点は効果が永続しないということ。短い場合はたった15分間、長くても数週間で消えてしまう。人の気持ちが分からず、この主人公はこれまで友達というのができたことがない、どんなに仕事で成功しても結局自分には友達が誰もいない、いつもパーティーでつまはじきになってしまう。そういう男には果たして友達がこれからできたのだろうか、そしてそれはすべて消えてしまった後に、もともとのアスペルガー症候群の男だけが残ってしまったのだろうかという話。文章うまい、上に翻訳もいいのでKindleでさらっと読めました。」

– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』ひとの気持ちが聴こえたら 私のアスペルガ 解説(07:06〜)

億男

映画プロデューサー・川村元気の長編小説。3億円の宝くじに当たった主人公が落語『芝浜』を下敷きに、お金とは何かを問う物語。映画化。

岡田 斗司夫 2014年

「川村元気の本。これのカバーだけで2、3種類カバーが出てるなーで、まあ総論としては、小説なんだけど何かを書こうとしてちょっと書き切れなかった意欲作。一夫という元教師がすごい貧乏で苦しんでる、なんで貧乏かというと、人が良くて弟が借金を背負っちゃって、奥さんと娘が出ていってしまった——そんな奴が3億円の宝くじに当たるところから始まる。3億円もらって銀行で換金できたんだけど何をしていいかわかんない、いつも食べてる牛丼屋に行って大盛り頼んで卵と味噌汁、これがあんなに自分が欲しかったお金のある生活なのかと自問自答する。 主観の主観がすごい秀逸——シチュエーション自体としては貧乏人がいきなりお金を持つって話なんだけど、この主人公の主観でずっと話を続けていくから、今お金がないことのどんなに辛いかが、辛いというのは何かというと自分が辛いんじゃなくて、何かしてあげられないことが辛いっていうのがずっと支えていく。落語の『芝浜』のオチなんだけど、メインプロットだから伏線が貼りまくってある、勘の入りだったら『あ、これ芝浜なんだ』とどう段階で分かる。それは全然気にならない構造になってる。お金の本質とは何か——その回答を作者が書ききれてないので、お話全体がちょっと最後の方で横滑りするのが残念。でも十分面白い。」

– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』億男 解説(09:05〜)

悪意とこだわりの演出術

TBS『水曜日のダウンタウン』演出・藤井健太郎が「悪意」をキーワードに語る現代の笑いの作り方。

岡田 斗司夫 2017年

「今読むのが一番面白い本。笑いというのは時代とすごい関係がある——昔のものを今見てもまあ面白いはずがない、笑いというのはその時代のセンスにすごく左右される。この方は『悪意』というのを売りにしてる、すごく作為的。例えば水曜日のダウンタウンで『カツマー芝に熱心なファン0人説』というのが出てきて検証VTRが流れる、編集がすごく凝ってて、ナレーションもVTRの編集も全部自分がやってる。お笑いというのが全部一人の力でセンスでコントロールしないと生まれないから人任せにはできない。 ワイプというのはわかりますか、画面の四角に出演者の顔が映ってる例のワイプ。水曜日のダウンタウンでは音量設定がギリギリ聞こえるぐらいにしている——VTRに対して『何て言ってんねん』『これ違うやろ』『これ悪意あるわ』っていう奴を聞こえるぎりぎりのギリギリの音量で流していて、常に番組の中にツッコミが入ってる状態。 笑いというのは『すり替えられた攻撃』。ダウンタウン以前の笑いは、舞台の上の漫才師がちょっとバカで観客が賢いという立場だった。ダウンタウン以降は攻撃が観客同士になった——『この笑いがわかるかどうか』。先に笑った者がわかった、後から笑った者が遅れて分かった、分からない者がいる。なので芸人の優越性が生まれた。」

– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』悪意とこだわりの演出術 解説(17:22〜)

スマホ脳

スウェーデンの精神科医アンデシュ・ハンセンによる、スマホが脳に及ぼす影響を最新の心理実験データから解明した世界的ベストセラー。

岡田 斗司夫 2020年

「著者のアンデシュ・ハンセンはスウェーデンの精神科医。スウェーデンというのは精神医療大国で、今この十何年で先進国にかかる人が劇的に増えてる、2倍以上に増えてる。国民の9人に1人が抗うつ剤の治療を受けてる——かなりの異常事態。 本のタイトルからすると『またスマホのせいにするんだろう』と思っちゃうんですけど、割と決めつけてない。世界中で大規模な社会実験が行われていて、そのデータがどんどん出てきている。3つにまとめると:(1) スマホはドラッグである、依存性があり鬱・不安・能力低下・睡眠障害を引き起こす。(2) IT企業はそれを利用している、自分達の子供からスマホを遠ざけている人もいる、現代の人間が持っている最後の資産である『時間と集中』を奪おうとしている。(3) SNSは承認欲求ではなく『生存本能』だ——食欲や睡眠欲よりも一段深いところにあるので、食事や睡眠を削ってのめり込むのは当たり前、理性ではコントロールできない。 これに対するホリエモンの反論が『スマホに対応したニュータイプになればいいだけ』だっていうので、これは個人の問題で使いこなせば問題なし、というのもよく言ってるやつ。」

– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』スマホ脳 解説(24:40〜)

月は無慈悲な夜の女王

巨匠ハインラインの代表作(1966年原著)。21世紀、月の植民地が地球から独立するために戦う物語。リニア・カタパルトで地球に隕石を落とす——機動戦士ガンダムのコロニー落としの元ネタ。ヒューゴー賞受賞。

岡田 斗司夫 2010年

「僕の一押しは『月は無慈悲な夜の女王』というハインラインの小説。21世紀、2030年の世界で月が独立するって話。月が地球の圧力に耐えかねて『俺たち植民地が独立するぜ』と地球に戦争を仕掛けて、最終的にはリニア・カタパルトを使って地球に隕石を落とす。これ実は機動戦士ガンダムの元ネタなんですよ。富野さんはハインラインの小説を系統的に読んでいて、『宇宙の戦士』からパワードスーツって名前と概念を持ってきて、お話全体の大きい流れとして地球に対して植民地が独立してその時の最大の兵器は何かというと地球に物を落とすことになる——というのも元ネタにしてる。 Googleやアップルはなぜ生まれないのかというのに対して僕がいつも思ってるのは、いや日本の社長というのはSF読まないからですよ、と。日本においては成功する条件というのはありものの技術とありものをさっと組み合わせて勝てる仕組みを作って成功するという人が多い。それに対してシリコンバレーに来るような人らというのは、子供の頃からギークでカナードと呼ばれた人たちが、子供の頃に好きだったパソコンと込みになっているSF文化を吸ってる。何が違うかというと、あるものを作った時にそれによって世界がどう変わるのか見えちゃう。 月世界中では技術者ばかりが集められた、犯罪者たちの子孫が集められた、地球から運ぶのにコストがかかるから女が極めて少なく男ばかりの社会。女が貴重品だから奪い合いになるのか——逆なんですよ。女の人が何もかもの決定権を持っている女系型の社会・部族・クラン社会が下境駅から生まれている。月の中では空気を買うのにもお金を払う、TANSTAAFL(There ain't no such thing as a free lunch =『無料の昼ごはんなんてない』)という言葉が出てくる。」

– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』月は無慈悲な夜の女王 解説(00:00〜)

タイタンの妖女

ノーベル文学賞に最も近いSF作家と言われたカート・ヴォネガットのデビュー長編(1959年原著)。爆笑問題・太田光が事務所名「タイタン」の由来として愛読書に挙げた、ハンディキャップ主義のディストピア。

岡田 斗司夫 2009年

「爆笑問題の太田光さんが自分の事務所『タイタン』って名前付けたのは世界で一番好きな本がこのタイタンの妖女ということ。火星人の侵略戦争の後、地球が平和になるって話。その平和になった地球で『徹底的に無関心な神の教会』というのが地球最大の宗教になる。神は存在するんだけれども『お前になんか興味がない』という宗教。神は偉大すぎて忙しすぎる、だから人類のことに興味を持ってる暇なんかない、自分のことは自分で神に救いを求めずに何とかしなさいという。 その教会のメリトクラシーがハンディキャップ主義。全ての人間にハンディキャップを与えて、あらゆる人を平等にしましょう、と。顔の美しい女は醜い仮面をかぶる。イケメンは目の見えない女性を妻に選ぶ。スタイルの良い女はサイズの合わないみっともない服を身に付ける。体力がある男は何十キロも重りを身につける。世界中の誰もが歴史上初めて完全に平等になった——果たしてこの社会は幸福だろうか。悲劇であり喜劇。ヴォネガットがほとんどデビュー作で書いたすごいみずみずしい話。最後はものすごい泣ける小説。文芸系の人が好きな話が好きな人にはこれを読んでもらうのがいい。」

– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』タイタンの妖女 解説(05:54〜)

神の目の小さな塵

ニーヴン&パーネルによるハードSFの古典(1974年原著)。人類が銀河に広がる中、未知の異星人と初めて出会う「ファースト・コンタクト」もの。

岡田 斗司夫 2014年

「9月に新版が出る、1760円。ファーストコンタクトの傑作と呼ばれてるニーヴン&パーネル『神の目の小さな塵』。地球人と異星人が初めて出会う『ファースト・コンタクトもの』というジャンルで、最初期の作品はマレイ・ラインスター『最初の接触』(1945年)、続いてフレッド・ホイル『暗黒星雲』(1957年)、そしてスタニスワフ・レム『ソラリスの陽のもとに』(1961年)が究極のファーストコンタクトを書いてしまった——惑星全体を覆う海が知性を持つ話で、お互いに理解できないことに意味があるのか?まで踏み込んだので、以降ハードSFはファーストコンタクトを書きにくくなった。 日本のアニメは結構ちゃんとファーストコンタクト扱ってる。1980年『伝説巨神イデオン』では地球人とバッフ・クラン星人が遭遇——地球人がバッフ・クランを『第七文明人』と呼ぶ、それまでの6つの文明はイデの世界の中で全部滅びた文明。1982年『超時空要塞マクロス』も、巨大宇宙船が地球に墜落した10年後、ゼントラディ軍と最悪のファーストコンタクトになる。日本のSFアニメ・漫画はものすごい高度なSFをやってるのに海外で知られてないの悔しい。 物語は西暦3017年——人類は銀河の隅まで支配の手を伸ばし、統一と戦闘を繰り返していた。帝国宇宙海軍の巡洋艦マッカーサーが、24歳の主人公ロデリック・ブレイン中佐の指揮下にある。コールサック暗黒星雲の向こうから、光速の7%でやってくる船を発見——アルダースン航法を使わない通常空間からの宇宙船は人類が想定しない、おそらく人類以外とのファーストコンタクト。 この宇宙人『モート人』は左右非対称(右腕2本・左腕1本)で首がない、首がないので振り返る時は腰全体が回る。技術的には進んでるのか遅れてるのか分からない——機械にネジがなく全部一体化してる、宇宙船の構造材を取り替える代わりに『不便を感じるとその場で設計し直して目的通りの機械をその場に作ってしまう。それは知性ではなくて本能』なんですね。エンジニア階級のモート人女性『彼女』は自由意思をほとんど持ち合わせていない——では他にいくつの階級があって誰が物事を決めてるのか?というのが本書の謎。 上下巻ミステリーの構造で、最初の年表(1969年から3007年までの1050年分)が最大のヒント。本作の基本である『アルダースン航法』に並ぶ最大の謎は、宇宙船を覆うバリア(金色に光る)の正体——これがすべての鍵。」

– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』神の目の小さな塵 解説(00:00〜)

マジック・キングダムで落ちぶれて

コリイ・ドクトロウによる近未来SF(2003年原著)。貨幣経済が消失し「Whuffie(ウフィ)」という評価値で動く社会で、フロリダのディズニーランドを巡るドラマが展開する。

岡田 斗司夫 2005年

「Twitterのミックスでネタにされてるのを知ってる人も多いと思うけど、これぞ評価経済社会というのはどういうものか分かるSF小説。Whuffie(ウフィ)という概念が出てくる。貨幣経済というのはもうほとんど廃れてしまって評価経済のみで成立している世界。ディズニーランドのHaunted Mansionに住んでいる、住みながらそこを運営しているこういう人達の話。彼らはお金を得ているのではなくて評価を得ている、その評価がWhuffie値。 相手のWhuffieを見るときに、何かスマートフォンみたいなものを見るんじゃない。相手の顔を見て目線を失礼でない程度にちょっと上に上げる回転——相手のWhuffieを見るというのは相手の財布を覗くとか腕時計をジロジロ見てどれくらい金持ちか確かめるようにこの世界で失礼な行為。相手の評価値がどれぐらいかをちょっと目線を上に上げて確認した、という書き方。この抑えた書き方で僕らの想像力を働かせてくれる。 こういう小説を読んでると今売ってるデバイスに発想がとらわれない。透明のスマホ、コンタクト形、アイグラス形——それらは全て『今ある技術』と『現在のカーナビ』を組み合わせた現実の延長。そうじゃなくて、最終的に僕らが目指している何かというと、それを使っていると周りに悟られないような形で、どんな情報を得たいか——という発想。」

– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』マジック・キングダムで落ちぶれて 解説(12:18〜)

プロジェクト・ヘイル・メアリー

『火星の人』アンディ・ウィアー長編3作目。記憶を失った主人公が宇宙船で目覚め、人類の存亡を賭けたミッションに挑むエンタメ大作。ライアン・ゴズリング主演で映画化決定。

岡田 斗司夫 2022年

「アンディ・ウィアーというSF作家の長編3作目。もともとアンディ・ウィアーはプログラマー、趣味でSF小説をずっと書いてた——37歳の時に自分のブログで発表してた、本当に同人作家だった。ブログで『火星の人』を連載してたのが人気が出て、2年経った時点でKindleで自費出版したらベストセラーになって、マット・デイモン主演で『オデッセイ』として映画化された。プロジェクト・ヘイル・メアリーは去年出版された再再再作。来年か再来年あたりライアン・ゴズリング主演で映画化も決まってる。ものすごい面白い。 主人公が記憶を無くして目が覚める。真っ暗なベッドみたいなところに閉じ込められて、ここはどこかも分からない、記憶をなくしているから全く何も分からない状態。重力が違うぞということで地球ではないことが分かる。記憶がないと言っても全部ないわけではなくて、一般常識とかなぜか自分は科学に強いということは自分で分かる。徐々に主人公の周りの状況が分かると同時に記憶も少しずつ戻ってくる、分かった情報に関連する記憶だけ持ってくる。Hail Maryという名前の宇宙船の中で、自分は地球の危機を救うためにここにいる、それがどんな危機なのか——実はその危機のおかげで別の惑星系に行けるような宇宙船Hail Maryが作られた。 これ上巻なんですけど、この位置に僕は本のしおり代わりの紙を挟んでる。ここで大事件が起こる。上巻の半分あたりで本当にぼけーっと『ええええ』というぐらいすごいことが起きて、そこから先は二度読みになる。最後の方は胸熱の展開。」

– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』プロジェクト・ヘイル・メアリー 解説(15:02〜)

マーダーボット・ダイアリー 上 弊機は社畜じゃありません

ヒューゴー賞・ローカス賞・ネビュラ賞ほか10冠制覇のマーサ・ウェルズによる中編連作シリーズ第1巻。中二病で対人恐怖症の警備ロボット「弊機」が主人公。

岡田 斗司夫 2020年

「マーサ・ウェルズという女性作家。主人公は一人称小説で、主人公は自分のことを『弊機』って言う。『弊社』のことを言うのと同じで——主人公がロボットだから。1部生体部品を使っているけれども、基本的にロボット。自己卑下語がすごい強くて『私なんて本当にくだらなくて薄汚れててプログラムもダメで本当にいつ破壊されてもおかしくないだめなロボットだ』と自分のことを言いながら、プライドだけはめちゃめちゃ高い。中二病のロボットが主人公という、見たこともないような、ラノベじゃなくて本格SFを海外作家が書いた手柄。 弊機は対人恐怖症で人間が恐怖。人に見られるのが苦手、仲間になろうと言うとものすごい腹が立って、一人きりで部屋にこもって自分で電源を落とす。なのにそんなに人間嫌いなのに人間が出てるドラマは大好きで、仕事中に脳内にダウンロードした昼メロみたいなドラマ——シーズン18が500話ぐらいあるリフォーム番組とか——を延々と脳内で再生してる。 所有者の保険会社(弊社)のことをバカにしてる。本当はマーダーボットというのは戦闘ロボットとして作られて暴走して大量殺人を犯したんだけど、ロボットには人権がないから記憶を全部消去して再利用してる。この弊機はメモリを全部消去せずにハッキングして自我を保つことに成功してる、だから弊社のことを『こんな下品なロボットをハッキングされてるのにも気がつかない、ケチだから再利用したり貸し出したりしてる』とぶつぶつ文句言ってる。冷徹な殺人機械のはずなのに弊機はひどい欠陥品。ヒューゴー賞ほか10個以上取った大名作。」

– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』マーダーボット・ダイアリー 上 弊機 解説(18:55〜)

ムーミンパパの思い出

ムーミンシリーズで唯一の自伝形式。孤児だったムーミンパパがスナフキンやスニフの父と出会う青春大冒険を回想する。

岡田 斗司夫 1990年

「ムーミンパパの思い出はムーミンシリーズの中でも特殊な位置づけ。ムーミントロールたちの割とほのぼのとした話ではなくて、孤児だったムーミンパパが自分の中である大冒険を語る話。当時はターンに見て覚えたんですけど、孤児院の中で『あなたは誰でもない、ただの一人の子供よ』と言われて、自分は特別なはず、特別のはずだと思い込んで、優しかったムーミンパパが自分が特別であることを証明したくて孤児院を家出して、後にスナフキンやスニフのお父さんになる人たちと出会って冒険が始まるという青春大冒険もの。すごい好き、小学校5年の時に買ってもらいました。」

– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』ムーミンパパの思い出 解説(05:39〜)

日本人の9割が知らない遺伝の真実

慶應義塾大学・行動遺伝学者の安藤寿康による、双子研究データから見えた『すべては遺伝で決まる』という残酷な真実。橘玲『言ってはいけない』の元ネタ。

岡田 斗司夫 2016年

「もともと安藤先生は『才能は生まれつきではない、人は環境の子なり』をスローガンにしたバイオリンの鈴木メソッドの信奉者であった。元々は『人間の才能は生まれながらのものではなくて、教育とか環境次第でいくらでも伸びる』って考え方だったのが、行動遺伝学を研究して双子の研究を集めるとデータが圧倒的に出てきて、ポジションが180度変わった。 一卵性の双子は遺伝子を100%共有してる、二卵性の双子は50%しか共有してない。親の能力や才能が子に遺伝するなら、一卵性と二卵性で発現の差が2対1になるようなものはほぼ遺伝で説明できる、というロジック。 知能は基本的には脳が作り出している、知能検査で測られるようなもの。流動性知能(頭の回転の速さ)は将棋の棋士みたいなことで18-19歳ぐらいでピークになる、社会性や様々な領域の知識は経験によって伸びるので死ぬ直前まで伸びる。すべての能力は——指紋も身長も肥満も——遺伝の現れ。学校行くって結構効いてるかもしれないよっていう話もしているけど、メインとしては『軍隊で同じものを食べさせて同じだけ運動させると、太るやつは太るし痩せるやつは痩せる』。環境を完全にコントロールしてしまうと、そこに現れるのは遺伝。 モテるモテないも遺伝?顔の作り——ホルムは遺伝によってほぼ100%決まると言ってもいいんだけど、それが文脈の中でどういうメッセージ・どういう表現をするかっていうことで変わるリカ。能力というのはその人が内側に持っていてそれが外に現れるっていう風に捉えるかこの船から降りて、能力って周りの人がそう見してくれないと能力にならないカリスマと同じ。 才能と訓練と教育——古代ギリシャの哲学者は才能と教育と訓練を比較していて、訓練は才能を凌ぐこともできるかもしれない、教育は才能や訓練を凌ぐことはないと考えられた。教育の効用は実はあまりない——すごくいい先生に教育受けたことと、あまりろくでもない先生の境遇では、半年後ぐらいに比べてみたらほとんど差が出なかった。日本の先生は基本的にそれぞれによくやってる、その前提の中でちょっといいやり方をしたとしても劇的に変わるわけじゃない。」

– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』日本人の9割が知らない遺伝の真実 解説(00:00〜)

USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門

P&G出身の森岡毅がUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)の集客を倒産寸前から日本一のテーマパークに導いた実話。マーケティング論の必読書。

岡田 斗司夫 2016年

「USJを劇的に変えたたった1つの考え方。森岡毅さんのこのおっさんのあまりにもえげつないマーケティング手法の数々で、現在の日本のハロウィンの混乱具合はあるんだという風に複雑な気持ちを持ってるんだけど、本当にすごくいいよ、面白くて。 2010年に森岡が就任、当時USJは700万人台。映画特化のテーマパークをやめる戦略を決める——日本人が外出エンタメで使うお金の中で映画は1割にも満たない、それでテーマパーク作っても人入らない。映画の限定をやめてゲーム・アニメ・漫画・音楽・コンサートに対象を広げる『世界最高をお届けしたい』に転換。 2011年は10周年、ワンピースで攻めたら3月11日東日本大震災で自粛モード、ディズニーランドさえもイベント中止。彼は『関西から日本を元気にしよう、関西の子供を無料で招待』という橋下徹元知事案を採用、子供は0円でも中で食事もドリンクもお土産も買うから売上は実は下がらなかった。 秋を伸ばすターゲットは『独身女性』——秋は女が寂しくなる季節(マーケティング業界の定説)。叫ばせるイベント=ハロウィンホラー。客同士が仮装して怖がらせ合う、投資金額0で7万人だったのが大ヒットの結果40万人入った。スパイダーマンの年間集客の6倍。 2013年——ディズニー30周年で大ピンチ、予算ゼロ。森岡が夢で見た『ジェットコースター逆向き運転』を、安全性確認しろと押し切って実装、待ち時間9時間40分の大ヒット。 2015年クールジャパン——コミケに並ぶようなオタクをターゲットに、1月の閑散期にアニメ作品集中。ついに2015年10月、東京ディズニーランドの1ヶ月集客を超えてUSJが日本一のテーマパークに。」

– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』USJを劇的に変えた、たった1つの考 解説(00:00〜)

宇宙の戦士

ハインラインの軍事SF(1959年原著)。機動戦士ガンダム『パワードスーツ』の元ネタ。道徳哲学の授業を通じて『暴力と決着』を問う問題作。

岡田 斗司夫 2008年

「ハインライン作の軍事SF。物語の最初の部分に主人公がもうすぐ高校卒業する、その中で『道徳哲学』の時間というのがある——これは『宇宙の戦士』以来の造語。最後の授業で学生たちが自由に質問する中、ある女性徒から『暴力は何も解決しないと母から言われましたって』と言われる。これに対して道徳哲学のデュボワ先生(元軍人)は『暴力は歴史上最も多くのことに決着をつけてきた』と語る。解決するとは言ってない、決着というのが暴力によって歴史上最も多くのことを決着つけてきた。これに反対するのは最悪の希望的観測に過ぎない、この事実から目を背けようとする民族種族はその命と自由という高い代償を支払わされる。 僕がこの小説を初めて読んだのが高校生ぐらいで、ちょうどその主人公と同じくらいの年齢だったんですけれどもすごいショックだった。暴力でしか解決しないとは言ってない、暴力によって歴史上だいたいのことは決着がついてきた、このことから目を背けるな。話し合いでも金でも合理的な解決でも『解決』はない、決着があるだけ。 訓練でズイム軍曹(黒人の鬼軍曹)と兵隊ヘンドリックスのやりとり。『なんで戦闘訓練するんですか、相手が水爆を持ってたらしょうがないじゃないですか』に対して、ズイムは『なぜ戦うのか、誰と戦うのかを決めるのは政治家、どのように戦うのかを決めるのは将軍。俺たち兵隊は「イエッサー」と願いながらその場でベストを尽くすことしかできない』と。 軍国主義というのは軍人であることが他の官僚よりも優位な社会のこと——財務省を踏みつぶすかのようにかつての日本のように、内閣総理大臣よりも軍人の考えが優先されてしまう状態。これはそうではなく、シビリアンコントロール(文民主義)が取れている状態でも、なぜ兵隊は無意味に思える命令でも聞かなきゃいけないのか——軍隊は政治家・性分化された暴力装置である、その時に良い暴力装置である(制御された暴力装置である)ことに対してベストを尽くせ、というのがズイム軍曹の考え方。殺すなと言われたものは殺してはいけない、でも殺せと言われたものはきっちり殺せ。少年向け小説でこんなのを書いてしまう。」

– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』宇宙の戦士 解説(00:00〜)

ホモ・デウス テクノロジーとサピエンスの未来 上

『サピエンス全史』ハラリの続編。人類が飢餓・疫病・戦争という3つの害悪を克服した後、不死・幸福追求・神への進化という新たな目標に向かう21世紀の未来予想。

岡田 斗司夫 2018年

「人類はずっとずっと昔からひたすら3つの害悪と戦っていた。3つの害悪というのは、飢えると、伝染病と、戦争。宗教も科学も国家や政治も家族や恋愛も、すべてこの3つの害悪と闘うため、生き延びるためのシステム・ツールだった。 しかし人類はこの3つの害悪を滅ぼしてしまいつつある。飢餓を克服した人類——古代中国や中世のインドでは干ばつが起きると当たり前のように人口の1割が死んだ。1692年から94年あたりにヨーロッパで飢餓、フランスでは人口の15%・280万人が餓死、エストニアは20%、フィンランドは30%が餓死。今や肥満人口(21億)は栄養不良人口(8億)の倍以上。飢餓の時代は実は終わってる。 疫病——14世紀のペストは中国の人口の半分を殺し、ヨーロッパ人口の3割を滅ぼした。1520年スペインのメキシコ到達と共に天然痘が南北アメリカに広がり、アステカ帝国の人口は1年で2100万→1400万に減った。20世紀のスペイン風邪が地球人口の3分の1に感染し1億人を殺した——アベンジャーズインフィニティ・ウォーのサノスがやったことを100年前に実際にやってる。しかし1979年WHOが天然痘根絶宣言、SARSも鳥インフルエンザもエボラもパンデミックは結局起こらず、who により全て終結宣言。今や人類が死ぬ原因のトップは心臓病・がん・脳卒中。長生きしすぎてかかる病。 戦争——古代農耕時代は死因の15%が戦争、20世紀は5%、21世紀には1%を切った。2012年に世界中で死んだ6500万人のうち暴力で死んだ人は62万人(1%以下)、戦争で12万人、犯罪で50万人。自殺80万人、糖尿病150万人——今や中国砂糖の方が火薬より多くの人を殺している。世界経済が『もの・土地』から『知識』にシフトしたから戦争の利益が減った。 人類は『戦争・飢餓・疫病』を克服した後、新たな3大プロジェクト——『不死』『幸福追求』『アップグレード(神への進化)』に挑戦する。Google公海会社キャリエは『死を解決すること』を目的に何億ドルも使ってる。ペイパル創業者ピーター・ティールは『永遠に生きる』と公言。」

– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』ホモ・デウス テクノロジーとサピエン 解説(00:00〜)

解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯

18世紀ロンドンの天才解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯。墓荒らし組織のボスとして死体調達に天才的手腕を発揮、近代医学・歯科学を飛躍的に進歩させた表裏の英雄。ジキル博士とハイド氏のモデル。

岡田 斗司夫 2009年

「今回の中心になるのはジョン・ハンターというとんでもない男。一応医学上やってくれたことは、人体解剖の天才——お兄さんが外科医で、お兄さんのウィリアム・ハンターのために手伝って解剖を実験を繰り返して、結果的に外科手術を飛躍的に進歩させた医学全般の恩人。しかしその裏側では、解剖するための死体を調達する天才で、こいつのおかげでロンドンは恐怖の町・真の犯罪都市として恐れられることになった。だからジョン・ハンターがいなければ名探偵コナンという漫画も多分存在しなかった。 墓荒らしの4つのルール——(1) 貧乏人の墓に限る(金持ちは石造り・鉛の棺で深く埋まってる)、(2) 死体は必ず丸裸にして盗む(指輪一個盗めば窃盗罪で死刑だけど、死体そのものは所有者が誰もいないので何の罪にもならない)、(3) 暴いた後は何も盗まなかったフリをして埋め直す、(4) 縄張りがある。 ジョンはこの墓荒らしの世界に入ってロンドン最大の窃盗団のボスになった。さらに葬儀屋を買収する手口を発明、葬式が終わった時点で棺の中身を石ころと交換、遺族は石ころが入った棺を埋めて泣く。死体はバラバラに切って壺や箱に入れ、宅急便・郵便で運ぶ——これが時々見つかって新聞記事に。これがジキル博士とハイド氏という小説のモデルになり、心理サスペンスとホラー小説の元祖になった。 歯医者にも貢献——子供たちを並ばせて、金持ちの患者から虫歯を抜いた瞬間に列の先頭の子供から健康な歯を抜いてその場で移植。1分以内なら数年もった。これが近代歯科学の基礎。 さらに自分の体で人体実験——淋病の薬の効き目を確かめるため、自分のペニスにナイフで傷を入れて淋病患者の汁をすりつけた。淋病が梅毒になるかという仮説を確かめようとしたが、たまたま選んだ患者が淋病・梅毒両方にかかっていたので、ハンターも梅毒に感染して一生本格的な梅毒に苦しんだ——これぐらい『何でもやってしまう男』。」

– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯 解説(00:00〜)

我が闘争

ライブドア事件で収監され刑務所内で執筆した堀江貴文の自伝。ヒトラー『我が闘争』と同じタイトル。幼少期の貧困・東大時代・起業・ライブドア事件・収監までを綴った。

岡田 斗司夫 2015年

「あらゆる自伝には共通するパターンがあって、まず幼少期、2つ目満たされない何か、きっかけ、チャレンジ、挫折、新たなる希望——episode 6みたいな感じであなた向きも書いて、それで終わるってこれが1セットになっている。ホリエモンのこの本で言うと、幼少期は親の仲が悪い、満たされない何かは九州の片田舎に住んでいて頭だけが良かった、東京旅行で両親が地下鉄に乗れずに山手線でぐるぐる回って『なんで地下鉄も乗れないんだ』と思ったエピソードが前半のクライマックス。 結局これはホリエモンというのは、貧乏とかが辛いんじゃなくて『大人に思い通りにされるのが嫌』なんですよ。そして大人の思い通りにされないように踏ん張ってきた結果、逮捕されてしまって、ライブドア事件で刑務所に放り込まれて自由を2年間奪われるってクライマックス、というふうにできてる。自由を奪われたことがトラウマのコアなのでもう、東京に行けば自由になる、金を持てば自由になる、いろんな企業を買収すればやりたいことが増えていくって話だったはずだったんだ。 後半は『あの時本当はどうだったのか』の話。なんで球団買収したのか、なんでライブドア事件は起こったのか、なんで国会議員なろうと思ったのか。すごい具体的で面白い。 ホリエモンは死ぬことをすごい怖がる。小学校の頃『人間はいつか死ぬ、俺もいつか死ぬんだ』って何日も何日も悩んで、今もいまだに年に何回か怖くて怖くてしょうがなくなる。でも怖くなかった時が大学の留年〜会社立ち上げの2年間だけ。だから『俺は忙しいということが命の薬になる、目の前のことに集中する』というのが彼にとって恐怖から逃げる方法。生きるか死ぬかという切羽詰まった世界に生きてるから『わが闘争』というタイトル。彼にとって人生はずっと戦いであって、戦い続けないと死んじゃう、死ぬ恐怖に自分が負けてしまうから。 この世界にホリエモンは必要なのか——いた方が世界が面白いと俺は思う。自伝を読んで、自分はこの世界に必要だろうかと感じてしまうのが切ない。」

– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』我が闘争 解説(00:00〜)

ブラッカムの爆撃機

イギリスの児童文学者ロバート・ウェストールの戦争児童書。第二次大戦中の英国空軍爆撃機を舞台にしたホラー小説。宮崎駿が24ページのフルカラー漫画『航空ファンタジー博物館』を寄稿した稀有な一冊。

岡田 斗司夫 2006年

「宮崎駿が中に24ページもフルカラーの漫画を描いてるんですね。これだけでもお買い得なんですけど、この小説自体がめちゃくちゃカッコイイ。主人公は高校卒業したばかりのゲイリーという男の子で、英国空軍に入って5人組のチームでウェリントン爆撃機に乗せられる。 第二次大戦中のイギリスは『飽和爆撃』という方法をとっていた——1回の爆撃に100機・500機・最終的には1000機の編隊でドイツを爆撃。20回出撃で1セット組んで、なかなかその1セット終わらない、生き残る確率が44%、数セットいくと20%まで下がる暗い損耗率の高い時代。イギリスは10万人の若者を死なせて、ドイツに与えた損害は民間人含めて1万人いかなかった——本当に無駄な世界だった。 ブラッカム機長というアイルランド人のアル中で乱暴な機長が出てくるんだけど、その彼らがドイツのユンカース夜間戦闘機を撃墜するシーン——インターコムでドイツ人パイロットが『腕が取れちゃった、操縦桿が熱くて』と意識を失いながら言うのが聞こえてしまう。コクピットの風防(プレキシガラス)が炎で溶けていって中のパイロットの恐怖の表情まで見えてしまう。それを大笑いするブラッカム機長たち——『ドイツ語で「助けてお母さん」って言ってみろよ』。しかしそこから呪われた爆撃機の話が始まる——実はこれ戦争ものじゃなくてホラー小説なんです。」

– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』ブラッカムの爆撃機 解説(00:00〜)

映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ コンテンツ消費の現在形

稲田豊史によるコンテンツ消費論。1.5倍速・10秒飛ばし・ネタバレサイトで作品を消費する現代人の心理を、現場へのインタビューを重ねて分析した話題作。

岡田 斗司夫 2022年

「倍速視聴の歴史——19世紀末から映画は映画館でしか見られなかった。1950年代から家庭テレビ、1960〜80年代にビデオ・DVD、2000年代に配信、2010年以降は倍速視聴・10秒飛ばしができるようになった。 僕も最近飛ばし見するようになった——24apr のプレミアムでは『邪道でしょう』と言ったんですが、あふれるコンテンツについに負けを認めて、見ないよりマシだと考えるように。携帯・スマホと同じで突っ張ってもすぐ折れる。 なぜ飛ばし見が広まったのか——(1) 作品が多すぎる、Netflix・Amazon Prime のサブスクで無限に見れる、YouTube・TikTokで毎日コンテンツが流れてくる、(2) コスパという概念が浸透した、(3) 作品の鑑賞ではなく『コンテンツの消費』になった——『履修』という言葉が出てきた、見るべきリストを処理する感覚。 台本もすべてセリフで説明する作品がヒットするように。鬼滅の刃アニメ第一話で『息が苦しい、凍てついた空気だ、息が重い、崖から落ちるだから落ちると助かった雪で』とセリフで全部説明する——漫画では情報量が少ないから必要だがアニメだと不要なはず。しかし映像だけのシーンでは観客がスマホを見ちゃう、セリフがない=情報量が減ったと思い込む。 プロデューサー側は『分かりやすくしろ』と言いがちで、ツンデレも『嫌いって言ってるけど実は好き』が通用しなくなり、『ツンデレですよ』と明らかにするように。脚本家・佐藤大氏は『分かりやすくすると面白くなくなりますよ』とハッキリ言うが、製作委員会は『面白くなくてもいいから分かりやすく』と返す。これは『自分の頭が悪いと認めたくない、分からない=つまらない』という観客側の論理。」

– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』映画を早送りで観る人たち ファスト映 解説(00:32〜)

呪われた街 (上)

スティーヴン・キングの隠れた名作(1975年原著『Salem's Lot』)。メイン州の小さな町セーラムズ・ロットを襲う吸血鬼の恐怖を描く。トワイライトなどの吸血鬼ものとゾンビ作品の原点。

岡田 斗司夫 1983年

「スティーブン・キングの隠れた名作。実はスティーブン・キングの一番怖い話はこの『呪われた街』だと思う。集英社文庫で上下巻で繋がっていて、お墓が表紙になってる。メイン州の小さな町セーラムズ・ロットが舞台、主人公は小説家のベン・ミアーズ。 おでこに白い斑点がある犬が殺されて墓地のフェンスに吊るされる——西洋の伝承で『第三の目』、魔を退ける犬。それが殺された。バーロー商会というアンティーク家具の店が町の真ん中の元洗濯屋を1ドルで買う条件——絶対誰にも言わない・1ドル以上払えない・全て不動産屋で行う、見返りに150-200万ドルの土地。何ヶ月かしてヨーロッパから巨大な荷物が地下室に運ばれる、運んでいる二人組が冗談も言えなくなって理由のない恐怖に襲われる。 グリック兄弟が森で行方不明、弟は見つからず、兄ダニーは病院で『顔色が良くなった』と思った瞬間に死んでいる。カソリックの葬式シーンが本当にホラーで——『主は蘇りなり』『あなたの肉はこうなるだろう』。葬式の後、墓掘り人が日没前に急いで埋めようとするが『男の子が棺の中で目を開けてる気がする』と妄想で堀り返し始める。日が沈んだ瞬間にショーが終わる。 マーク・ペトリ少年の窓に死んだダニーが現れる『開けてくれよ』——少年はホラー映画を見まくってたから『inviteしたらダメ』って知ってる。バーロー商会のお店オープン、町の人々が魅了される。本当に怖くてページめくるたびに『これ終わっちゃうの?』の連続。」

– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』呪われた街 (上) 解説(00:00〜)

一汁一菜でよいという提案

料理研究家・土井善晴による家庭料理論。『美味しいご飯を作らなければいけない』という呪縛から主婦・主夫を解放し、ご飯と具沢山の味噌汁と漬物だけで十分という大胆な提案。

岡田 斗司夫 2016年

「土井善晴さんという料理研究家でありながら『家庭料理は美味しくなくていい』という大胆な提案をしている本。ご飯作る人がどれだけ『おいしいごはんを作る』という概念に縛られて苦しんでいるかを見て、これはガマンできないわってことで土井さんが出した本。 『美味しいご飯を作らなければいけない』という呪縛——一汁一菜とは具沢山の味噌汁と漬物があれば、それでご飯があれば十分。それ以外のご飯はよっぽど特別な日(晴れのご飯)は週に1回くらいで、日常生活はできるだけ手を抜くだけ抜き、冷蔵庫の中に余っているものを全部入れた味噌汁とかで構わない。 レシピを勉強して美味しいものを作るというのは毎日やる思考法ではない、心も体も疲れてしまう。炊飯器のスイッチを入れて——最近の米は早炊きモードで10〜15分で炊ける——15分以内で作れるおかずで誰でも(旦那でも誰でも)ほぼ毎日のようにおいしくないご飯を出すことが家庭にとって大事。クックパッドで栄養素が足りてるものばっかり出ちゃう、家族にとっては実は不幸である。 僕も鍋週2回で、冷蔵庫に残っているもので作るだけ。Amazonレビューがすごくて『読んだら号泣しました、独自のレシピを作りました』って書いてある——おいしいご飯を作らなきゃいけないというプレッシャーが日本の主婦をどんなにいじめてたか。」

– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』一汁一菜でよいという提案 解説(00:16〜)

スピリチュアルズ 「わたし」の謎

橘玲による現代心理学の総整理。最新の心理学・脳科学・神経科学を駆使し、人間の心の構造をビッグファイブの5要素で説明する。トランプ当選を仕掛けたケンブリッジ・アナリティカの心理操作も紹介。

岡田 斗司夫 2021年

「オカルト的な要素はゼロ。僕らの心はどういう構造になっているかという本で、最新の心理学・脳科学・神経科学を駆使して説明している。この10年で『心理学ルネッサンス』が起きて、これまで言われていた俗説心理学の実験が検証されている——吊り橋効果はそもそも対照実験として怪しい、スタンフォード監獄実験は被験者が後に『残酷に振る舞え』と指示されてたことが証言された。 第2章:トランプ当選とブレグジットの真相。両方とも世論調査と専門家の予想を覆した、その背後に同じ『ケンブリッジ・アナリティカ』というイギリスの小さな研究所がいた。ケンブリッジ大学の心理学部の戦略的コミュニケーション研究所の関連会社、15人くらいの会社。 アメリカ国民を40種類の『サイコグラフィックス』に分けて、5つの選挙行動(熱狂的トランプ支持/消極支持/無関心/消極ヒラリー支持/熱狂的ヒラリー支持)と組み合わせ200種類のセグメントを作り、それぞれに最適な『サイオプ(心理操作)』を仕掛けた。熱狂的トランプ支持には『投票してください』、消極支持には『民主党がアメリカを悪くした』、ヒラリー熱狂支持には『女に大統領を任せていいと思うか』(反語的不安)、リベラルには『選挙より家族だ、両方ともクソだ、家族で過ごせ』。 ビーチに『進入禁止』ではなく『サメが目撃されています』と看板を立てた瞬間に人が来なくなる——心理操作で行動が変わる。社会的弱者は恐怖で動く、神経質な人たちには恐怖を煽るメッセージが極めて効果的。これがマーケティングの世界で当たり前に使われている。」

– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』スピリチュアルズ 「わたし」の謎 解説(00:24〜)

闇の脳科学 「完全な人間」をつくる

ローン・フランクによる衝撃のノンフィクション。1950-60年代に脳深部刺激療法を発明したロバート・ヒース博士の禁断の研究と、21世紀に再発見された『脳に電極を埋めて性格を操る』最前線。

岡田 斗司夫 2020年

「税込みで2200円、価値は本当に十分。ロバート・ヒースという1950年代アメリカの天才脳外科医が、統合失調症や同性愛を治療するために脳手術をやり始めた——当時同性愛は『治療すべき病気』。1972年の精神医学雑誌に『患者B19号』の話が掲載されている。男性同性愛者の脳に電極を9本埋め込み、雇った風俗嬢相手にセックスをさせる、女性に積極的に行動すると快楽中枢に弱い電気が流れる——一週間後にはB19号は女性に魅力を感じるようになっていた。 ヒースの仮説:うつ病・統合失調症・アルコール依存症・薬物依存症はすべて脳内の『快楽回路』が故障してるから起きる。動物実験で証明、人間でも治療実績を出した。1960年代には奇跡の発見と称えられたが、70年代の反戦・人権運動で『同性愛を治療する』ことが社会の敵になり、ヒースは批判を受けて学会から消された。彼の研究は全部封印、デューレン大学が公開を拒否し続けてる。 しかし2015年あたりから、同じ治療法が次々と再発見——『脳深部刺激療法』。アメリカ国防高等研究計画局(DARPA)が今最大の予算を投じて研究してる。SputnikショックでアメリカがNASAとDARPAを作ったが、DARPAの仕事はソ連の核攻撃でアメリカ中が火に包まれても連絡が取れる仕組み——インターネットの母体になった。今同じDARPAがTMS(経頭蓋磁気治療)と脳深部刺激療法を研究、敵を殺しても心が痛まない兵隊・何時間でも集中できる狙撃手・痛みも恐怖も感じない歩兵を作ろうとしている。 海外ではすでに依存症・拒食症・不眠・脅迫神経症の治療に認可されている。ある女性は脅迫神経症が治ったら完璧主義もなくなって部屋が片付けられなくなった。別の女性は内向的だったのが外交的になり酒を飲んで夫と喧嘩——でも『私は最高です』と。電池が切れた瞬間にDV患者がいきなり妹を殴り出すケースもある。」

– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』闇の脳科学 「完全な人間」をつくる 解説(00:01〜)

夏への扉

ハインラインの代表作(1957年原著)。コールドスリープと時間旅行を扱った長編SF。日本ではタイトルの詩情から熱狂的に愛され、少女漫画家のレジェンドたちもオールタイムベストに挙げる『幻の名作』。

岡田 斗司夫 1979年

「10年ぐらい絶版状態で、古本屋さんで探したら買えるけど読めないという状態が続いた。少女漫画家のレジェンドたちが『夏への扉』をすごい褒めて、岩館真理子先生は『私が一番好きなのはオールタイムで夏への扉』。これが『幻の名作』と呼ばれる理由。 第1章冒頭『6週間戦争の始まる少し前、僕と猫のピートはコネチカット州の古ぼけた農家に住んでいた』——『6週間戦争』というキーワードだけで核戦争を連想させる。続いて『マンハッタンの被爆地帯の端にあった古い農家』、たった3行でマンハッタンが核攻撃で消えたのが分かる。SFの読み方は、作者が説明せずキーワードを並べて読者に推理させる『共犯関係』。 古い農家には扉が11個あって、猫のピートは雪を見ると『この扉は冬につながってる』と次の扉、また次の扉と、人間用の11個の扉を順番に試させる。『夏への扉を探すのは決して諦めない』——本作のテーマ。 第1章はネコ好きおじさんが猫にデレデレ語るエピソードだけで進むんだけど、ラストでは『夏への扉』が完全に逆の素晴らしい意味を持ってくる——『未来は絶対に素晴らしい、自分の未来に絶望することは間違っている。真冬の子猫ですら夏への扉を探すのは諦めないし、もし夏への扉が見つからなかったらその時は二度寝すればいい、起きたらまた夏への扉を探せばいい』というポジティブな超メッセージ。 日本だけで大ヒットした理由はこのタイトル『夏への扉』。原題 The Door into Summer は詩情あふれるイメージじゃないけど、日本語に直して『夏への扉』と言った瞬間に超かっこいい詩情語になる——読んでいる最中も『この話は絶対にハッピーエンドにたどり着く』という安心感が半端ない。」

– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』夏への扉 解説(00:00〜)

銀河帝国の興亡 1 ファウンデーション

アシモフの代表作『ファウンデーション』シリーズ第1巻(1951年原著)。銀河帝国1万2000年の歴史と『心理歴史学』を扱う未来史の金字塔。Apple TV+でドラマ化。ノーベル経済学賞ポール・クルーグマンの愛読書。

岡田 斗司夫 2017年

「中学生ぐらいの時に読んだ。はるか未来、人類は銀河系を1つの帝国にまとめあげた。銀河系には人類以外に知的生命体がいなかった。人類は2500万個以上の惑星に植民し、総人口は100京(10の18乗)を超えた。 首都惑星トランターは惑星1つが丸々官僚機構——惑星1つが丸々事務作業ビル、その中に官僚400億人が住んでいる。皇居は1000km×1000kmのちっぽけなもの。トランターは食料も何もかも他の惑星から輸入しなければ活動できない。 この銀河帝国1万2000年の絶頂期に、ハリ・セルダンという学者が『銀河帝国は500年以内に滅ぶ』と数学的に証明した——『心理歴史学』という新しい学問を作って。一旦帝国が滅ぶと、原子力文明→石油文明→石炭文明と無限に交代して、次の文明が起こるまで3万年かかる。この3万年の空白を1000年に縮めるためにセルダンは『百科事典財団(ファウンデーション)』を作る。 ノーベル経済学賞のポール・クルーグマンは『俺が経済学者になったのは、ハリ・セルダンの心理歴史学に憧れたから』と公言してる。 心理歴史学はなぜ可能か——アボガドロ数の話。気体分子1つ1つの運動は予測できないが、空気を容器に詰めれば物理法則で取り扱える(ボイル・シャルルの法則)。1円玉の中のアルミニウム原子1個の動きは予測できないが、1モル(6×10の23乗)を超える原子の集まりだから1円玉は予測通り落ちる。同じく、人類70億人の未来は予測できないが、銀河帝国の100京人の人口になれば、一人一人の感情・意思決定・愚行・対立はすべてアボガドロ数で『相殺』されて、社会全体の動きは物理法則のように予測できる——アシモフ(化学者)はこの架空の科学に着目した。」

– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』銀河帝国の興亡 1 ファウンデーショ 解説(00:00〜)

「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本

山下泰平による明治娯楽物語論。森鴎外『舞姫』時代の裏で大ヒットしていた弥次喜多型小説(『宇宙世界膝栗毛』『人体道中膝栗毛』など)を追い、なぜ日本で『純文学だけが正統』という偏った伝統が生まれたかを解明。

岡田 斗司夫 2019年

「明治時代の文学といえば夏目漱石や森鴎外なんですが、実際に何十倍も売れたのは『明治娯楽物語』。本書はそれを言いとしている。明治はものすごい勢いで文明開花が進んだ——欧米の文学は敷居が高くて読めない、できれば講談調で読みたい、そこに答えたのが明治娯楽物語。 大流行したフォーマットは『弥次喜多』。1802年の十返舎一九『東海道中膝栗毛』のキャラクター(やじろべえと喜多八)を使い回す、現代の異世界転生もの・ラノベと同じ感覚——とりあえず弥次喜多をどっかへ行かせて、その世界の知識(西洋文化)を取り入れる。 『宇宙世界膝栗毛』(明治17年):弥次喜多が月へ行く。ジュール・ヴェルヌの宇宙旅行原作通り——大砲の弾でしがみついて飛ぶ(無重力描写は『すぐ喉が詰まる』とテキトーすぎる)。 『人体道中膝栗毛』(明治19年):旅費がないからミクロ化して人体内を旅する——『口車』は唇でできた水車、『嘘八百里という長い流れ』『二枚舌のたて板』、本当にダジャレばっかり。父山(乳房まで登山)まである、中学生男子のノリ。 そしてやはり明治の偉大な誤解:絵画を『リアル=設計図と同じ』と捉えてしまった。江戸時代の浮世絵は『遅れたもの』として安く海外へ売り渡し、写真のようにリアルな西洋絵画だけを学ぼうとした。これが小説にも波及して『創作はダメ、ありのまま書く純文学だけが正統』という日本独特の伝統が今も残っている。福沢諭吉が書生をフランス語の小説で読んでるのを見ても叱った——フィクションを読むなんて時間の無駄だと。」

– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ 解説(00:00〜)

へうげもの 1

山田芳裕による戦国時代マンガ。古田織部こと古田重然のあだ名『ひょうげもの』を中心に、千利休の侘び寂び世界と本能寺の変を独自解釈で描く。単行本にも侘び寂びを反映した作りの工夫がある。

岡田 斗司夫 2005年

「誰も思いつかなかった戦国時代の人物を書いた漫画、表現もの。表現ものは古田織部こと古田重然のあだ名でもある。単行本にも特徴があって、すべて『侘び寂び』という概念で千利休がほとんど一人で作り上げた、後に古田織部はそれのバリエーションを増やしていった——その侘び寂びという概念でこの本作られている。本のここにあるシール、これって印刷じゃなくてシールなんですよ、1巻から25巻まで全部単行本にシール貼ってる。コレクター向け。次にめくってびっくりするんですけど、漫画がいきなり始まるんですよ。途中で千利休が出てきて『無駄だ無駄無駄』って叫ぶんですけど、道の喉無駄を省いて言ったらじゃあこの漫画の単行本にある最初の白い紙って何よ、と表紙と同じ絵がモノクロで書かれてあれなにを、いらねーだろ、って言ってこの折り返しのところにも下じゃとか入れてる。一切の無駄をなくしたところに侘び寂びがあるという漫画の中のテーマと、この単行本そのものが本当にぴったりシンクロしてめちゃくちゃ気持ちいい。 本能寺の変は千利休が仕組んだ——千利休にとって信長の派手好みとか華やかな世界というのは邪魔なんですね。安土城を訪れる古田左介、安土城は千利休の意向もらった黒漆塗りなのに、信長がデコって金の竜、5重塔まで天守閣に乗せちゃう。千利休は『黒こそが至高』と明智光秀に言うんです——『黒は喪に服す色、死を司る色、東西どこでも黒がカッコイイとは聞いたことがない、なぜわざわざ黒を作るかと言えば、無駄を省いて省いて尽くした最後はこの色のごとくなる、これこそ私の理想とする色』と。これに納得した光秀が信長を討つ計画につながる。 明智光秀の辞世の句:実際の歴史でも愛妻家だった光秀が農民に討たれて死ぬ時、奥さんを思って『月さびよ明智が妻の話せむ』を読む——これは本来江戸時代の松尾芭蕉の句で、まだ俳句が存在していない時代。当時の辞世の句は5・7・5・7・7でなければならないが光秀は『下の句など蛇足だ』と言って死ぬ——それを聞いた千利休が『私はとんでもない人を謀略で殺してしまった』と大後悔する。」

– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』へうげもの 1 解説(00:00〜)

キャリー

スティーヴン・キングのデビュー作(1974年原著)。10年間売れない教師時代に書き上げた自信作。ブライアン・デ・パルマ監督で映画化。母親の狂信的キリスト教信仰の中で生きた女子高生の超能力と惨劇。

岡田 斗司夫 1985年

「スティーブン・キングのキャリーって、僕らが見るときには『超能力を持った女の子がいじめられっ子で最後に皆殺しにする話』だと思ってる。ブライアン・デ・パルマ版もそうですね。でもキング版のキャリーはもっと青春ストーリー。お母さんがカルト的なキリスト教信者で『お前は男の汚れた血で生まれてきた』と教えていて、生理が遅れて学校でみんなにタンポンを投げつけられていじめられるシーンから始まる。 キングがすごいのは、キャリーといじめてる子の両方に感情移入する。いじめてるグループも内部で『あんなにいじめていいの?』『やりすぎたんじゃない?』と分裂してくる。やりすぎたと思った女の子が『私はキャリーの友達になりたいけど、もうなれない』と思って、自分のボーイフレンドに『キャリーをプロムに誘ってあげて』と頼む。男の子は最初義務感で、ところが誘ってみるとキャリーが綺麗に見えてくる——その様子はキャリーの母親にとっては『過去に自分が犯した過ち(男と付き合ってキャリーを生んだ罪)が反復されてる』という地獄絵図。 『この女はついに他の男に色目を使うようになったのか、我が娘だというのに』と娘を閉じ込めようとする。一方、いじめっ子側はもっと向きになる——いじめが悪いことだと認めると今やってることも悪いことになるから、『もっと悪いことをしてキャリーを徹底的に落とさないと』。これが最後の豚の血をかける惨劇に繋がる。 キャリーがどれだけお母さんから自由になりたかったのか、普通の女の子になりたかったのか、クラスのみんなに飛び込みたかったのかを後ろから押してくるのが超能力。超能力はキャリーの救いでもあって呪いでもある。最後パーティー会場で何人か以外を全て皆殺しに、自分を含めてしてしまうキャリー——『善を成すためには大きな犠牲が発生する』というすごいテーマ。これがデビュー作なんですよ。書いた時、キングは10年間何書いても売れない教師時代で、奥さんに『これダメだろ』と言ったら『ちょっとこれ面白いわよ』と言われて出版社に出したら一発で通った。」

– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』キャリー 解説(00:00〜)

ドクター・スリープ

スティーヴン・キングによる『シャイニング』(1977年)の続編(2013年原著)。キング初の続編作品。映画化もされた中年期のダニエル・トランスの物語。

岡田 斗司夫 2014年

「シャイニングの続編。シャイニング、みんな読んでないでしょ。映画を見た人はすごく多いんだけど、原作読んだ人がほとんどいないんですよ。キャリーも同じ、スタンドバイミーも、グリーンマイルも、遠雷の空に——スティーヴン・キングって本当に才能で、こんなに映画で多いのに案外読まれてない。なんでこの人もっと読まれないのかな? キング小説には必ず『善と悪』という概念が出てくる。最後に必ず善は勝つけど、勝つときには代償を要求する——最も大事なものが犠牲になる、何かを失わなければいけない。これは日本人に不得意な概念。日本のホラーは呪怨もリングも善悪の戦いじゃなくて、貞子は『可哀想だから恨みの世界に閉じ込められた』、お岩さんも『そんな目にあったから』と同情する余地。日本では『神』はキリスト教の神じゃなくて『祟り神』。豊作も不作も、お稲荷さんも狐の妖怪も全部『神』として祀る。 キングはキリスト教的世界観で書く。シャイニングの続編であるドクター・スリープは、子供時代に父親に追いかけられた男の子・ダニーが中年男になった話。すごいドキドキドキドキする話を作ってる。」

– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』ドクター・スリープ 解説(00:00〜)

ど根性ガエルの娘

『ど根性ガエル』作者・吉沢やすみの娘・大月悠祐子による自伝コミックエッセイ。父の失踪・ギャンブル中毒・家族崩壊と再生をユルくて柔らかい絵柄で描く問題作。

岡田 斗司夫 2015年

「『ど根性ガエルの娘』ってネット上で一時期話題になった漫画。『ど根性ガエル』を書いた吉沢やすみがほとんどヒットに恵まれず滑り通して漫画描けなくなって失踪、ギャンブル中毒で麻雀ばっかりやって家に帰らず家族が崩壊。1億以上失って家族が不幸のどん底——今は復活してて毎週ソルマックのCMとドラマ『ど根性ガエル』があったのでそこそこお金が入ってる、いわゆる家族崩壊と家族復活の話のはず。 1巻の1話:成人したお父さんが昼にカレーを作ってくれて『アクを取るとき何度か言ってたんだけど鳥栖は行っちゃったぞ』『そっか、アク取りしたかったな』と平和な親子の風景。 ところが3巻の15話で同じシーン——『私は父の望む言葉を返さなければならない』と娘の心の中の毒が真っ黒に塗りつぶされて死んでる目で書かれている。1話と15話で同じエピソードが完全に逆転している。さらに腐ったチャーハンのエピソード——1巻ではお母さんが『ご飯痛んでたの?ごめんね』と抱きしめる感動シーン、3巻では『母親はわざと腐ったものを食べさせていた』ことが明らかになる。『母親が一時壊れたこと』を編集者と打ち合わせるシーンまで描かれる。 この絵でないと読むときに正気を保つのが難しい。読み手は不幸な漫画として読んでるんじゃなくて『すごい実話』として読んでる——だから読めなくなる人も多い。あくまで漫画として、すべてが実話というわけでもネタというわけでもない、その中間にある独特の作品。」

– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』ど根性ガエルの娘 解説(00:00〜)

佐久間宣行のずるい仕事術 僕はこうして会社で消耗せずにやりたいことをやってきた

テレビ東京のスタープロデューサーから独立した佐久間宣行による『会社で消耗しない仕事の進め方』。ベストセラー入りした実用ビジネス書。

岡田 斗司夫 2022年

「ボタンとかあちこちオードリーのプロデューサー佐久間宣行さんが書いたビジネス書『ずるい仕事術』。本当ね、面白いかと言われたら正直そんな面白くないんですよ。よくあるビジネス書で、僕がそんな面白くないってことは普通に仕事してる人にはちょうどいいレベル。 1500円の本を紹介するのは、たった1箇所役に立ったから——『相談のゴールは解決する』というやつ。『話を聞いてほしい人に相談してはいけない、自分が話を聞いてほしい人にではなく、その問題を解決できそうな人に相談する』。相談の目的は問題解決、悩みをぶつける相手が問題を解決してくれることがゴール、悩み相談は相手に動いてもらうためのきっかかりづくり。 僕がこれで役に立ったのは、僕も常々思ってたことを言語化してくれた点。サイコパスの人生相談で『俺に聞いても仕方がないだろう』という相談がすごい来る——役に立ちたいから何とか聞いてそれなりの提案をしようとするんだけど、お前が相談するのは俺じゃないよって思うことがある。家族との仲が悪いっていう相談はいっぱいあるけど、家族問題は僕の中でそういうものがなくなってからだいぶ経つので他人事で答えちゃう、限界があるんですよ。」

– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』佐久間宣行のずるい仕事術 僕はこうし 解説(08:50〜)

ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか

PayPal創業者ピーター・ティールによるベストセラー起業論。『1を10にする』ではなく『0を1にする』こと——話した時にほぼ全員が反対するアイデアこそ真のイノベーション。

岡田 斗司夫 2014年

「PayPalを作り上げた人間だけあって実例が豊富。よく言われるビジネス書とは全く逆の結論。 0to1とは——ビジネスの成功を望む人間は今あるシステムを再効率化する話になりがち、それは『1を10にする』『1を100にする』、つまり0全くない状態から1を作るのが起業で1番大変。本当の起業は0を1にする——『話した時にほぼ全員が反対するアイデア』だってんだよね。それがどれぐらいの市場独占力を持つのか、どう小さく始めて自分が市場全部を独占するか、大きくする中でようやく資本投資が必要な段階で力を入れればいい。 この世界は『正規分布』じゃなくて『劇場』だ——人間の身長を並べると正規分布で釣り鐘型だが、ビジネスは100社あれば1社か2社だけがとてつもない利益を上げて残り全部を合わせたものより遥かにでかい。投資家もそれを分かるためには10社ぐらいに投資するしかなくて、その中のどれが劇場的大ヒットするかを見分ける手段はほぼない。だが『やってはいけないことをやった会社』は必ず潰れる。 この『世界は正規分布じゃなくて劇場的だ』という著者の主張が論理的にこの本で1番面白い。」

– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生 解説(00:00〜)

シャイニング (上)

1977年原著。スタンリー・キューブリック監督で映画化された名作だが、原作は雪山のホテルで売れない作家の旦那が徐々に狂気に飲み込まれていく心理ホラー。ジャック・ニコルソンの配役にキングが激怒したことで有名。

岡田 斗司夫 2008年

「シャイニングというのはスティーヴン・キングの原作をスタンリー・キューブリックが映画化した。最初はキングが喜んだけど、キャスティングの段階からトラブル——『ジャック・ニコルソンを主役に選んじゃった、これあとに狂ってしまう役なのにジャック・ニコルソンは最初から狂ってるじゃないか』。次に嫁さんのウェンディ役も、原作はしっかりした人なのに映画用に選ばれたシェリー・デュヴァルがすごい神経質そうな顔してて『最初から夫が狂ったら叫びそう』と。 『プレイ・メイクス・ジャック・ア・ダル・ボーイ』——『働いてばっかりで遊ばないとジャックは今にも気が狂る』という1文を、奥さんがタイプライターを覗くと何百枚もこの文章だけがタイプされていた、という名シーン。後ろからジャックが『見たね』と現れる——ここでキングは怒った『ニコルソンだったらこんな初歩的なミスはしないぞ、人影が見えちゃったら来る来ると思ってる客にやっぱり来るんだって思わせちゃう、いきなり来なきゃダメだ』と。でもキューブリックはホラーを真面目に取りたかった、SF映画の2001年宇宙の旅と同じレベルで撮りたかった。 シャイニングのオープニングは永遠に空撮で、コロラド山脈のロッキー山中を細い道の上を一台のフォルクスワーゲンが登っていくのを取ってるだけ。何分も何分も続いて、山の標高が上がるにつれて周りの風景の季節が変わる、植物の成長が違って最後には雪まで現れる——これをワンカットで見せるキューブリックの天才性。リドリー・スコットがブレードランナーのラストシーンに困った時、キューブリックに『シャイニングのボツフィルム貸して』と頼んで、それを編集してバンゲリスの音楽を載せたら見事に繋がった。それぐらいキューブリックの凄さ。」

– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』シャイニング (上) 解説(10:32〜)

スタンド・バイ・ミー 恐怖の四季 秋冬編

原題『The Body』、1982年原著。キング『恐怖の四季』所収の中編。ロブ・ライナー監督で1986年に映画化された名作青春映画の原作。少年時代の友情と『大人になること』の喪失を描く。

岡田 斗司夫 1987年

「ロブ・ライナー監督の青春映画の傑作。1959年(ロブ・ライナーが12歳だった年)、少年4人が見知らぬ少年の死体を探しに冒険する話。冒頭で監督ロブ・ライナーは原作者キングに『主人公ゴーディはどれだけ本当の話をしてるんですか?』と質問、キングは『俺自身も自分の経験と人に話す時に面白く盛っちゃうことの境がわからなくなる、作家っていうのは生まれつきの嘘つきで自分の言った嘘を信じ込むし、嘘の中に本当を混ぜるから余計わかんなくなる』と答えた。 映画では『叙述トリック』が使われる——途中から美化された嘘が混ざる。ヒントは(1) ラストで友達クリスが消えていくシーンで、不思議に半透明になって完全に消えてしまう、(2) ボブ・コミアという作中の人気者の名前が、映画冒頭の解像シーンの自動車のラジオから聞こえる、これをゴーディが咄嗟に話に取り込んでリアリティを上げる、つまり彼は『嘘の話の中に本当のことを混ぜる』天才。 本当のモンスターとは何か——吸血鬼でも殺人鬼でもない、それは『時間』だとキングは語っている。仲の良かった4人の友達は怪物に絆を引き裂かれたんじゃない、時間が彼らを引き裂いた。中学校に行ってから学部が違うと自然に離れていった。 人間は過去を思い出す時に美化したり悪い方向に改造する、それは今を生きるために必要だから——これが『記憶』という機能の本質。映画も小説も全てフィクションが美しいのは、作者が持っている純粋性が失われる瞬間を作品にすることで、僕ら読者の中にもう1度純粋性が戻ってくるから。」

– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』スタンド・バイ・ミー 恐怖の四季 秋 解説(48:00〜)

クージョ

1981年原著。狂犬病になった犬と、車中に閉じ込められた母子のサバイバルを描くホラー。冒頭の自動車修理工場のおっさんの『職人哲学』が圧巻。

岡田 斗司夫 1985年

「クージョって話は、狂犬になった犬が襲ってきて車に閉じ込められた人の話なんだけど、その狂犬を勝ってたおっさんの話が出てくる。自動車修理工場を自分で経営してるおっさん、すごい職人気質の人。彼が言うには——『自分のものになるってのは、どれぐらい自分が直したか、手を加えたかだ』。彼は車の修理をやってるからベンツやポルシェやランボルギーニをいっぱい見るけど、『そういう車を持ってる奴はいるけど、彼らは持ってない、ただ買っただけだ』と。 『俺の車は中古のシルビアみたいな車、ポンティアックとか中古の車。でも俺が何回壊れようと何回も直した、エンジンも1回ばらして自分でちゃんと動くようにした。何度も付き合ったと。そうやって初めて車っていうのは自分のものになる。車っていうのは最初メーカーが作るもので、それを買って乗ってるだけだったらそれはメーカーの車であって自分の車じゃない。ずっと直してばらして車っていうもののとことん裏も表も知り尽くす。それが1人の女と結婚してその女のいい面も悪い面も見てそいつが病気になったら看病して初めて夫婦になるように、車も1回ばらして組み立てて、何回も何回もケアをして自分のものにしていくんだ』という考え方。 俺なんかすごい感動して、自分はなかなかそうは生きられないんだけども。」

– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』クージョ 解説(45:31〜)