「マーサ・ウェルズという女性作家。主人公は一人称小説で、主人公は自分のことを『弊機』って言う。『弊社』のことを言うのと同じで——主人公がロボットだから。1部生体部品を使っているけれども、基本的にロボット。自己卑下語がすごい強くて『私なんて本当にくだらなくて薄汚れててプログラムもダメで本当にいつ破壊されてもおかしくないだめなロボットだ』と自分のことを言いながら、プライドだけはめちゃめちゃ高い。中二病のロボットが主人公という、見たこともないような、ラノベじゃなくて本格SFを海外作家が書いた手柄。 弊機は対人恐怖症で人間が恐怖。人に見られるのが苦手、仲間になろうと言うとものすごい腹が立って、一人きりで部屋にこもって自分で電源を落とす。なのにそんなに人間嫌いなのに人間が出てるドラマは大好きで、仕事中に脳内にダウンロードした昼メロみたいなドラマ——シーズン18が500話ぐらいあるリフォーム番組とか——を延々と脳内で再生してる。 所有者の保険会社(弊社)のことをバカにしてる。本当はマーダーボットというのは戦闘ロボットとして作られて暴走して大量殺人を犯したんだけど、ロボットには人権がないから記憶を全部消去して再利用してる。この弊機はメモリを全部消去せずにハッキングして自我を保つことに成功してる、だから弊社のことを『こんな下品なロボットをハッキングされてるのにも気がつかない、ケチだから再利用したり貸し出したりしてる』とぶつぶつ文句言ってる。冷徹な殺人機械のはずなのに弊機はひどい欠陥品。ヒューゴー賞ほか10個以上取った大名作。」
– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』マーダーボット・ダイアリー 上 弊機 解説(18:55〜)