「シャイニングというのはスティーヴン・キングの原作をスタンリー・キューブリックが映画化した。最初はキングが喜んだけど、キャスティングの段階からトラブル——『ジャック・ニコルソンを主役に選んじゃった、これあとに狂ってしまう役なのにジャック・ニコルソンは最初から狂ってるじゃないか』。次に嫁さんのウェンディ役も、原作はしっかりした人なのに映画用に選ばれたシェリー・デュヴァルがすごい神経質そうな顔してて『最初から夫が狂ったら叫びそう』と。 『プレイ・メイクス・ジャック・ア・ダル・ボーイ』——『働いてばっかりで遊ばないとジャックは今にも気が狂る』という1文を、奥さんがタイプライターを覗くと何百枚もこの文章だけがタイプされていた、という名シーン。後ろからジャックが『見たね』と現れる——ここでキングは怒った『ニコルソンだったらこんな初歩的なミスはしないぞ、人影が見えちゃったら来る来ると思ってる客にやっぱり来るんだって思わせちゃう、いきなり来なきゃダメだ』と。でもキューブリックはホラーを真面目に取りたかった、SF映画の2001年宇宙の旅と同じレベルで撮りたかった。 シャイニングのオープニングは永遠に空撮で、コロラド山脈のロッキー山中を細い道の上を一台のフォルクスワーゲンが登っていくのを取ってるだけ。何分も何分も続いて、山の標高が上がるにつれて周りの風景の季節が変わる、植物の成長が違って最後には雪まで現れる——これをワンカットで見せるキューブリックの天才性。リドリー・スコットがブレードランナーのラストシーンに困った時、キューブリックに『シャイニングのボツフィルム貸して』と頼んで、それを編集してバンゲリスの音楽を載せたら見事に繋がった。それぐらいキューブリックの凄さ。」
– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』シャイニング (上) 解説(10:32〜)